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宝の地図 アースダイバー

アースダイバー
アースダイバー
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中沢 新一
講談社 (2005/06/01)
売り上げランキング: 127
おすすめ度の平均: 3.92
4 レイヤーで捉えるユニークな東京論
3 東京異形地図?
5 乾いたところ、湿ったところ。

宝の地図

中沢新一氏が捧げる本書は、現代の首都たる東京を、新石器時代(日本では縄文時代)の、温暖化のため、水位が現在よりも高く、東京の半分までが、海にうもれ、フィヨルド状の地形をなしていた地図にマッピングして、読者にスリリングな考察とビジョンを提示する。

縄文時代から遥かなる歳月をへて、江戸、明治の遺物と、天災、戦火によってスクラップアンドビルドされ、純然たる近代都市として設計された東京の細部の辺境に、新石器時代の影響を見ることができる。それは、過去から現在に至るそれぞれの時代ごとに、聖域であり、死のにおいの空間であり、古墳であり、墓地であり、神社仏閣であり、これらのスポットが見事に、新石器時代のフィヨルド状の海岸に臨んだ位置にあてはめられるのであった。

フィヨルドの入り組んだ海岸は、現在も川として、その地理的痕跡を残すとともに、沼、池などの水にちなんだ地名を今の時代にも残している。巻末に折りこみでつけられたこのフィヨルド状のマップは、まるで荒俣宏が収集した西洋の脳の解剖図譜のような、それだけでも、圧巻的な存在感でドキッとさせるに十分で、しばらくの間、マップから目を離すことができなかった。

中沢氏は友人に誂えてもらった、この新石器時代の地図を片手に、東京を東から西へと自転車でフィールドワークする。これが、沖積層の地表をもぐって、新石器時代の洪積層へとダイビングするアースダイバーのコンセプトと実践である。

長年。都市の散策を趣味の1つとしている読者としては、これは、素敵な宝の地図の贈り物である。確かに、街角を1つ曲がった、盲腸のような異様な感覚を感じるスポットを経験することは少なくなった。

中沢氏は、まさに、宗教人類学の類型として捉えられる、異界と現世との接点に異文化の衝突が発生する事を、新石器時代の海岸線の彼方とこちら側と境界に位置する都市のスポットをフィールドワークしていくのであった。

すでに、ネットワークの世界でも、アースダイバーの同好の士が、赤瀬川原平氏等の提唱した路上観察学会のように、活動をはじめているようだ。

想像力と検証の題材として、こんな素敵な贈り物は、インディ・ジョーンズでもなければ手に入れられないはずのものである。かのタモリ氏も、氏一流の感性で、坂道美学入門、なる本を上梓しているが、どうしても気になる坂道は、きっとアースダイビングのスポットになっているであろうと、波を待つサーファーの気分である。

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