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ぼくらの鉱石ラジオ 小林 健二

ぼくらの鉱石ラジオ
ぼくらの鉱石ラジオ
posted with amazlet on 06.03.10
小林 健二
筑摩書房 (1997/09)
売り上げランキング: 88,491
おすすめ度の平均: 4.83
5 悲しきラジオ
5 工作が好きな人々のために。
5 モノづくりの原点

悲しきラジオ

著者の小林健二氏は造形作家である。レビュアーは著者の名を美術雑誌”みずえ”の澁澤龍彦追悼特集で、その異色の作品と共に、名前が記憶に刻まれた。著者の作品は単にレトロなサイエンスアートには留まらない。サイエンスとアートの稀有な蜜月がここにある。

コンピュータのマザーボードのジャンクを継ぎ足して現代アートと称するものは少なくないが、著者の作品の製作は、エンジニアも真似のできない、手業である。工作だけが目的なら、鉱石ラジオのような原始的な電気回路は部品があれば数分で完成してしまうのだが、すべて手作りとなれば話が違う。

著者は、国会図書館に通って往年の電子工作雑誌を調べ、見本もないところに、部品の製作から始めるのである。検波器を鉱石とピンで、そして、エアバリコン、ノブ、初期のラジオの中に見つけられるようなさまざまな手巻きコイル,あげくの果てにはクリスタルイヤホンまで、金属を削って、銅線をまいてと、丹念に作りあげるのである。

ここまで手間のかかったラジオが美しくないわけがない。効率的に工場で量産された消耗品と化してしまったMDコンポと比べると、まるで、ライト兄弟やリンドバーグの飛行機はかくの如き美しき手作り品ではなかったろうかと思いを誘う。

少年が一人、ラジオの検波器を握り、遠く彼方からの電波をさぐるイラストに、なくしたものを見つけた気にさせた。

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