コンスタンティノープルの陥落 塩野 七生
新潮社 (1991/04)
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2通りの体験
教科書1行の真相
実況レポートのような歴史物語甘美な映画のような戦争絵巻
ライフワークの超力作「ローマ人の物語」で読書界では不動の地位を得た塩野七生氏は、外国人であっても、自国民以上に、その国の研究を成し遂げうることを、我々に強く示した。その塩野さんの初期作では、ベネチアの物語と本書の含むエーゲ海三部作が秀逸である。
本書は東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルがオスマントルコの若き皇帝マホメッドにより陥落する戦争を克明に描いた甘美な歴史絵巻である。500年前の歴史が、まさに映画のようにビジュアルに浮かびあがってくる、その記述とプロットの技は巧である。
読者には、あまりのリアルさに、原書の翻訳か、リメイクではないかと思ってしまうが、エンディングに至って、舞台裏を見せるが如く、登場人物の出典が、それぞれ歴史上の文献から、塩野さんの緻密な資料調査で、選びだされ、魂をこめられて、あたかも目の前の生身の人間のように描かれたことに再度、感銘をうけるであろう。
複数の主人公が一人、一人、離れた地で登場し、敵・味方・中立の証言者として、コンスタンティノープルに集結し、クライマックスへと突入していくストーリーは映画のように読者をひきつける。近代戦史のような苦渋に満ちた壮絶さはここにはないが、それは時間がそうさせるのか、読者にとって救いなのか。半世記では答えはでないが500年たって答えがでるものもあるような読後感を持った。
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Comments
TBありがとうございました。塩野七生さんの執筆はものすごいものがありますね。
イタリアの映画会社が映画化したら・・・と 思うのですが」・・・・。
Posted by: edaats | March 07, 2006 at 08:28 PM
コメント,TBありがとうございます。どこかの雑誌で読んだのですが、確か、本書のトルコ兵が地平線が動くが如く、襲来するさまは、黒沢監督の映画をイメージして執筆されたとの塩野さんのコラムを読んだ記憶があります。そうですね、イタリアで映画化されたら、すごいものができそうと期待します。
Posted by: 管理人 | March 07, 2006 at 09:51 PM
そうなんですか。映画のイメージから執筆ならつながるかもしれませんね。
ぜひ映像化を期待したいです。
Posted by: edaats | March 08, 2006 at 09:22 AM
件の雑誌を探して確認しました。毎日ムック「黒澤明の世界」、黒澤監督の追悼出版と思われます。塩野さんのコラムが自ら記しています。本書の人物の登場のしかたは「七人の侍
」のまねをし、大軍の登場は「蜘蛛巣城」をイメージしたそうです。後者の映画は、私はまだ見ていないのですが、本書とイメージを重ねて視聴してみるのも、一興と思いました。
Posted by: 管理人 | March 08, 2006 at 11:02 PM