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僕の叔父さん 網野善彦 中沢新一

僕の叔父さん 網野善彦
中沢 新一
集英社 (2004/11)
売り上げランキング: 8,763
おすすめ度の平均: 4.27
5 入門書として最適
5 中沢新一の作り方
5 網野先生と中沢家の三代にわたるコラボレーション

中沢一族の土壌から生まれた網野史学

中世民衆の研究から、日本の歴史学を民衆の視点で再構築した故網野善彦氏の、甥である中沢新一氏による網野歴史学の成立の過程を記した追悼の一冊。

中沢氏も初期の著作の中で、在野の民俗学者であった父(厚氏)の事や叔父にあたる網野氏の事に言及していたことはあったが、それは単に記した程度であった。個人的にも友人が自分の友人の父が網野氏であって、中沢氏との関係を聞いていた。

本書では、中沢新一氏を生み出した研究者を連ねてきた中沢一族と、そこに義兄弟として関わるようになった網野氏と中沢親子、さらに別の叔父にあたる精鉄氏の研究者、護人氏等による知的なディスカッションの中から網野史学が生まれた事がよくわかる。バタイユ、レヴィ・ストロースから戦前の日本の歴史家の名前が次々とでてくる親子、親戚の会話など、なかなか一般庶民の親族の集まりではありにくい話であるが、まさに中沢一族という甲州の肥沃な土壌が網野氏学を確固たるものにしていく過程が客観的に記述されている。(著者本人が本書は、将来、網野氏の評伝を手がける方がいれば、その参考になるようにと、よく覚えているものと、感心するほど、親族の会話を正確に記述している)

中沢一族が網野氏を生み出すとともに、網野氏が中沢新一氏の思想の大きなバックボーンとして支えになっていたこともよくわかる。中沢氏の評価はともかく、網野氏の評価も、学会という保守的な組織の中では、十分に理解されていないことも意外ながら本書で知った次第である。

かつて、東大教授であった西部邁が中沢氏を教授に推薦し、教授会では採決されず、辞任した事件から察するように、学者の先生たちは、自分の理解できないものを客観的に評価する能力は持ち得ないのであろう。

中沢氏の著作は、デビュー当時から論文ならぬ散文調であり、論文数重視の学会の評価は図るべしである。

本書で著者が述べたように、網野善彦氏と中沢新一氏は中沢一族のコラボレーションと言えよう。

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中世日本史を勉強していますが 一番好きな学者は 網野善彦さん アジール 非農業民 異形異類の輩 南北朝の騒乱は 民衆を歴史の表舞台に押し出した 中世の暗闇を照らし出す その宝石を見つけたのは 網野さん この本はおいの中沢新一さんがつづったもの 残念... [Read More]

Tracked on February 22, 2006 at 06:48 PM

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