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あまり好むところではないが 国家の品格 藤原 正彦

国家の品格
国家の品格
posted with amazlet on 06.01.27
藤原 正彦
新潮社 (2005/11)

国家の品格って美人よりも心のやさしい女性みたいに聞こえる

往年の大作家、新田次郎氏の血をひく数学者である著者による日本への警句エッセイといったところか、バブル崩壊後の話題になった清貧の思想に似た感想をもった。資本主義、社会主義というイデオロギーの垣根のなくなったところに、米国流の市場原理が日本に浸透した結果、日本人は勝ち組、負け組という二項分類の単一の価値感しかうけとめざるを得ない錯覚に翻弄されている。それが、これまで日本の経済などに意見を掲げることもなかった東大の岩井克人氏から、中沢新一、村上龍、橋本治といった面々までが、市場原理だけでよいのかという異議申立ての論考が批評空間として成り立つほどである。

著者の市場原理に拮抗する思想は品格という。これにはいささか疑問をもたざるを得ない。なぜなら、目に見える美人とそうでない人という価値判断を、やっぱり人は外見や収入でなく、器量や内面が大事だという理想女性論に近い、実でまけても心で勝つという武士道につながってしまうからだ。

レビュアーとしてはむしろ、橋本氏や池田清彦氏のように、勝ち負けという二項分類からはみだして、多種多様な価値観の共存の中で、孤高の私的な普遍価値観を各自が自助努力で確立していくことこそ重要に感じる。

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