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世に棲む日日 動ケバ雷電ノ如ク、発スレバ風雨ノ如シ

世に棲む日日〈1〉
世に棲む日日〈1〉
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司馬 遼太郎
文藝春秋 (2003/03)
売り上げランキング: 3,215
おすすめ度の平均: 4.64
5 入門編
5 松陰教育と役人道
5 維新の原動力

動ケバ雷電ノ如ク、発スレバ風雨ノ如シ

幕末の舞台は京都であり、明治維新は江戸城の無血開城という世界でも類のない無血革命だったが、裏舞台には革命思想があり、革命があった。覇権争いは有史上、無数にあったが、争いに参加する人々が理念を抱いたものをここでは革命と呼んでおく。
本書は司馬さんの作品の中では知名度は高くないが、主人公の吉田松陰と高杉新作の生き様を読む事で読者は読者もレビュアーの言わんとする革命の一端を知るだろう。

幕末の長州は若く優秀な人物を厚遇する自由な気風があり、その風土の中で吉田松陰は諸国を旅して学問の修行にでる事を許される。各藩で地方の傑物に出会い、求道的に学問を極めていく。一番大きな出来事は佐久間象山との出会いによる海外への目覚めであり、若く性急な松陰は有名な外国船への密航を企て、自宅謹慎の身となる。この謹慎中の松陰の元で有名な松下村塾が開かれ、久坂玄随、そして高杉晋作が門下生となる。

松陰が長州で異国の脅威を警鐘している中、日本中で尊王攘夷の機運が高まり、安政の大獄や桜田門の変に代表される、佐幕派と勤皇派の争いが激化する。そのあおりを受けて密出国で、一度は釈放された松陰も攘夷派の思想代表として粛清されてしまう。松陰自身、その後の維新の理念となる思想と共に死ぬ事を本望とするロマンティストであり、裁きの場で純粋に相手が自分の思想に共感したと思い込み自分の企てたクーデターのことまで語ってしまうほどだった。

その後、蛤御門の変で惨敗した長州は英国に戦争をしかけ、国内からも海外からも攻められる四面楚歌の状態と化す。家老たちも京都で敗戦すれば攘夷派が粛清され、佐幕派家老は攘夷派志士に狙われる。藩内は攘夷の士気が高ぶり、攘夷の指導者たちも勢いを押さえきれなくなってくる。そんな中の何度も脱藩した高杉は全権大使で英国と停戦調停を行う家老代理をつとめ、佐幕派に命の危険を感じ、身を隠すという波乱な日々を過ごす。

クライマックスの革命クーデターは高杉が伊藤俊輔と井上門多をひきつれた、第二次長州征伐の幕府海軍を撃退である。後に伊藤俊輔がこう語る「動ケバ雷電ノ如ク、発スレバ風雨ノ如シ、衆目駭然、敢テ正視スル者ナシ」 超然として風流だった高杉は、幕末ファンには坂本竜馬に準ずる傑物として評価されるのも納得の一冊である。

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