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軍神乃木神話と児玉源太郎 坂の上の雲 5

坂の上の雲〈5〉
坂の上の雲〈5〉
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司馬 遼太郎
文芸春秋 (1999/02)
売り上げランキング: 1,788
おすすめ度の平均: 5
5 痛快
5 ターニング・ポイント
5 爾霊山、涙無くして読めない。

軍神乃木神話と児玉源太郎

表層的には遅々として進展がなく見える日露戦争の背景が、司馬さんの記述によって、お互いの巨大なエネルギーの押し合いとして伝わってくる。日本は軍費もなく、国債を外国に買ってもらって、軍艦を調達し、砲弾を作り、兵力では圧倒的に劣っている中、砲弾戦では不利でも、衝突の肉弾戦では極めて果敢な気迫で戦った。

戦局の1つのポイントである旅順の港の要塞の東郷の海軍が攻めるが、互角の戦いでロシア軍艦を港に封じ込めるのが精一杯であった。一方、陸軍は朝鮮半島の仁川から北のロシアの要塞を1つづつじりじりと陥落させて、清の前身、金の首都だった奉天まで進む。ロシア軍は後退する中、本国から膨大な師団の援軍を待っている、そしてナポレオンをも撃退した冬将軍の到来も味方として期待している。日本陸軍は巨大な戦力のロシア軍をまるで糸で取り囲むように包囲作戦を進める。ある意味、日本は兵力よりも敵将クロパトキンの心理と戦っていた。その作戦の中でロシアのコサック騎馬隊との互角の戦は不利と考えた秋山好古は騎兵と歩兵による変則的な騎兵隊で活躍する。

一方、遅々として陥落できない旅順に陸軍は乃木に陸側からの攻撃をさせるが戦後、英雄の伝説になっていた乃木将軍とその参謀の伊知地は、実は才にはたけていなかった。有名な二百三高地を落とすために大勢の日本兵が無駄死にの状態であった。そこへ登場するのは陸軍大臣も辞して司令本部の現場におりた児玉源太郎である。旧友の乃木を助けるべく、ロシア軍の砲弾の飛んでくる攻撃の前線まで赴き、山を動かすが如く、海軍の巨大な砲台を山の上に移動を命令する。現場の砲学の専門の参謀が不可能と答えるが、児玉の直感で見事にそれを実現させ、ついに二百三高地に砲台を移動に成功させる。そうなると、もう旅順港は眼下にある。運び上げた砲台をもってしてロシア艦隊を殲滅させる。
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Comments

はじめまして
てつと申します。
中学生の頃、「竜馬がゆく」を読み、次に「坂の上の雲」を読もうと買ったまま、読まずに今日まできてしまいました。
ここで、「坂の上の雲」の書評を読んで、読んでみようと思いました。どうもありがとうございます。また勉強しにきます。

Posted by: てつ | July 27, 2005 at 11:50 AM

コメントありがとうございます。私が竜馬がゆくを読んだのは30過ぎてからです。中学生の息子は漫画のおーい竜馬も興味なさそうです。中学で読まれたなんて、これから益々研鑚されてください。若い方々の参考になる良書を紹介していきたいと思います。またお立ちよりください。

Posted by: 管理人 | July 27, 2005 at 08:29 PM

 結論先にありきと思われる司馬遼太郎の著作を唯一の根拠として、「司馬は無能」、「3軍の参謀は無能」、「日本兵は無駄死に状態」と断言するのは、早計ではないでしょうか。
http://namiki-shobo.co.jp/military/tachiyomi/military029.htm
こちらの著作などを読んでから、再度考慮することをお勧めします。

Posted by: 雑音 | August 02, 2005 at 05:57 AM

コメントありがとうございます。私もご指摘の議論があることは聞いたことがありますが、内容は寡聞にしてしりません。何しろ最近、本書を読んで、このくだりを知ったばかりのため、本記載は本書のサマリー・レビューとご理解ください。著書の紹介ありがとうございました。

Posted by: 管理人 | August 02, 2005 at 07:56 PM

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