« 従業員の”市場価値”再考 岩井克人氏著再読 | Main | 軍神乃木神話と児玉源太郎 坂の上の雲 5 »

いつか貴方も見たはずの小屋の肖像

小屋の肖像
小屋の肖像
posted with amazlet at 05.07.23
中里 和人
メディアファクトリー (2000/09)
売り上げランキング: 255,440
おすすめ度の平均: 5
5 わびのトマソン風景

わびのトマソン風景
”老人力”でメジャーになった赤瀬川原平氏をご存知だろうか。温厚・柔和な面立ちからは想像できないが、60年代前衛芸術で活躍し、1万円札の模写の作品が犯罪ではないかと裁判にまで至った経歴のオブジェを見る目利きであり、別名で小説を書いて芥川賞を受賞している。赤瀬川氏は前衛芸術創作活動を極めていくうちに袋小路に入ってしまったと思われる。そして、意図なく、たまたま、実用性を失った日常風景の中のオブジェに前衛芸術の独創性やオリジナリティを越えたモノを見出す。例えば、家屋の入り口にあったドアが不要になって、跡にドアにあがる数段の階段だけが残った。赤瀬川氏はこれを無用の美として”純粋階段”と名づけた。これをきっかけに友人等と路上探偵団を結成し”役立たないものの美”としてトマソンと呼んだ。トマソンは芸術というガチガチ、難解なものでなく、肩から力のぬけたユーモアを帯びたものである。

さて、本書は小屋という現代社会からは姿を消しつつあり風化によってオブジェと化した物体にこだわった中里氏の寡黙であるが強い思いを感じる。

理屈は別にして、自分はこの小屋の肖像を美しいと思う。

投稿

皆さんのクリックが励みです→人気本・読書blogランキング ありがとうございました。


|

« 従業員の”市場価値”再考 岩井克人氏著再読 | Main | 軍神乃木神話と児玉源太郎 坂の上の雲 5 »

Comments

はじめまして。
このブログのライフスタイルカテゴリの本は好みの本ばかりで、いつも興味深く読んでいます。
このブログでトマソンという概念を知って文章を書きましたのでトラックバックさせてください。

Posted by: かげろう | July 24, 2005 at 09:33 PM

コメント、TBありがとうございます。ビジネス系の本のレビューをテーマにしていますが、時にまったく個人的な好みの題材も紹介しております。マイナーな話題に興味いただきありがとうございます。赤瀬川さんの活動の全貌をまとめたものとしては廃刊になった平凡社のグラフィック雑誌”太陽”の特集がお奨めです。またのアクセスお待ちしています。

Posted by: 管理人 | July 24, 2005 at 10:17 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/61482/5104925

Listed below are links to weblogs that reference いつか貴方も見たはずの小屋の肖像:

» トマソン [元祖かげろう日記]
トマソンという概念を知った。 トマソンとは「不動産に付着していて美しく保存されている無用の長物」のこと。 赤瀬川原平氏による定義。 役割を失ったまま残されている階段 "純粋階段" "役立たないものの美" そして、使われていない小屋の美しさ。 下に書いた無意味な階段。これはきっとトマソン。 葉蔵が停車場のブリッジの実用性に気がついたとたん興が覚めた、失望してしまったのは それがトマソンではなかったことによる落胆といえそうです。 中村好文氏が著書「普段着の住宅術」の中で述べ... [Read More]

Tracked on July 24, 2005 at 09:28 PM

« 従業員の”市場価値”再考 岩井克人氏著再読 | Main | 軍神乃木神話と児玉源太郎 坂の上の雲 5 »