« 本社部門とEVAの功罪 ソニー本社六階 | Main | ブログの技術 Blog Hacks ―プロが教えるテクニック&ツール100選 »

ネアンデータル人と仏教と普遍経済学 対称性人類学 

対称性人類学 カイエ・ソバージュ
中沢 新一
講談社 (2004/02/11)
売り上げランキング: 13,842
通常24時間以内に発送
おすすめ度の平均: 4.25
2 共感できる結論ではあるが
5 方向性を判断できる一冊
5 非対称な毎日だから

 ネアンデータル人と仏教と普遍経済学(バタイユ)

カイエソバージュシリーズの完結編である本書では、シリーズ総括として、「対称性人類学」を提唱し、新たに世界を切り拓く思想宣言をする。

シリーズの著作の中でも触れられてきたが、中沢氏の冒険的思考実験の背景には近年の認知考古学が研究成果の科学的根拠がある。中沢氏の解釈ではネアンデータル人がすでに獲得していた、脳内の博物的知能、技術的知能,社会的知能に、現生人類ではそれぞぞれの認知領域を横断するニューロンが結合され、流動的知性が生まれ、ものごとの同質性、象徴的な思考のできる「こころ」が形成されたのであった。

本書におけるエキサイティングな論考の1つは仏教を”野生の思考”(レビィ・ストロース)の”洗練された発展形”とする中沢氏の冒険的考察である。何しろ中沢氏は大学院生時代、チベットで密教の修行を経験しており、仏教の論考には体験に基づく重みがある。

(自然との)対称性の思考=野生の思考では神話的思考では”空間”を越え、自然と同質な霊力や動物との異種婚姻が神話の中に読み取られた。一方、仏教思想では”時間”を超え、自然と同一な心連続体を意識し、動物の母性愛を経典で語っている。このような形で4万年前の野生の思考は2千数百年前に形成された仏教に現出していたのであった。

また、バタイユが贈与の究極形態のポトラッチから見出した“死に至るほどの生の高揚”をベースとした普遍経済学を、カイエ・ソバージュシリーズで定義した純粋贈与と同質のものである事を唱える。

純粋贈与を備えた資本主義がどのように新しい経済学として実現できるか、それが対称性人類学が切り拓こうとする出発点である。対称性人類学と中沢氏の研究活動にこれからも注目したい。

投稿

皆さんのクリックが励みです→人気本・読書blogランキング ありがとうございました。

 

|

« 本社部門とEVAの功罪 ソニー本社六階 | Main | ブログの技術 Blog Hacks ―プロが教えるテクニック&ツール100選 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/61482/4104990

Listed below are links to weblogs that reference ネアンデータル人と仏教と普遍経済学 対称性人類学 :

« 本社部門とEVAの功罪 ソニー本社六階 | Main | ブログの技術 Blog Hacks ―プロが教えるテクニック&ツール100選 »