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神の発明 中沢新一

神の発明 カイエ・ソバージュ〈4〉
中沢 新一
講談社 (2003/06/11)
売り上げランキング: 12,816
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おすすめ度の平均: 4
4 あらゆる宗教のあとに出現するもの

 精霊からゴッドの誕生へ

 カイエ・ソバージュ シリーズの一冊である本書はヒトが一神教の神をうみだすに至った「宗教的思考」の根源について考察している。

日本語の「神」は英語で定義されるゴッド(God)と精霊(スピリット)が混在して使用されている。本書ではまずスピリットとゴッドの区分を明確化し、ゴッドから唯一神が誕生する過程をスリリングに解き明かしていく。
スピリットは自然に生息する目に見えない力であり、通常アニミズムとして理解されているものである。またスピリットとの交流は特殊な植物(ドラッグ)の飲用を伴なう儀礼やヨーガ、瞑想によって体感することのできる生理的な幻覚(「内部的視覚」)によって実現される。

スピリットの世界に「何か」の圧力が加わったとき、スピリットの世界は「神」の世界へと変貌をとげる。「神」の世界では人間との非対称性の低い「来訪神」と非対称性の高い「高神」とに分岐する。「来訪神」とは民俗学者の折口信夫が日本の南方諸島の調査などで、知られている「まれびと」であり、高神はその場所の高き所に常在し、秩序を保つ。

また「神」の世界の誕生は別著で説いていた首長から王の誕生に、伴なうものと主張している。中沢氏は前者をメビウスの輪で、後者をトーラス(ドーナツ)という数学的トポロジーの概念で関連づけ説明を行う。メビウスの輪は裏と表がないので、この世とあの世の行き来が可能で、真中から切り取ると表と裏に分かれた1つの輪になることでその行き来が遮断するメタファーとして来訪神を説明している。

そして、このメビウスとトーラスを合体させることで、この世と異界とを結びつけるとともにこの世に秩序をもたらす父性をともなった唯一神の誕生という、極めて独特の数学的レトリックで解き明かす。この唯一神の誕生は歴史上のモーセのヤハウェの神の絶対的な信仰の思想に一致するとしている。

中沢氏は「神」が死に、資本主義が世界に蔓延した現代社会の“希望”として、神を生み出す前のヒトの「宗教的思考」のもっていたスピリットの再来に期待をこめて本書を結んでいる。

レビュアーの素朴な見解は、絶対的な自然へのコントロール願望が王をしても実現できない事を解決してくれる存在として「唯一神」を生んだと考えであるが、この私見も「王」の誕生が「唯一神」の創造の伴なうものであれば、あながち、間違いではないだろう。

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Comments

早速のコメント有難うございました。「メビウスの輪」の譬えを出そうかどうか考えていたのですが、ここに見つけました。まさに、謂わんとしていることはこの辺にあるようです。

参考になりました。

Posted by: pfaelzerwein | May 16, 2005 at 10:28 PM

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