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経済成長と失業問題を考える 市場主義 伊藤元重

市場主義
市場主義
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元重 伊藤
日本経済新聞社 (2000/11/07)
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5 読みやすい!
4 「選択の自由」日本版
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市場原理で経済成長と失業問題を考える

伊藤先生の「市場の法則」の読者には一読を奨めたい。本書も市場原理というキーワードで経済を平易に読み解き明かしている良書である。

計画経済では遅々として発展の進まなかった途上国が市場原理を導入して、この10数年、飛躍的な成長を遂げた。これは明らかに市場原理の正しさを実証している。

皮肉なことに途上国の成長は日本の製造業は国内空洞化を引き起こし、日本経済と雇用に痛みを与える結果となった。伊藤先生は日本経済成長と失業率の問題も、市場原理の適用によって、以下に記すように解決できるものである事を示唆し、市場原理を充分に受け入れられない日本の体質そのものが課題であると述べる。

かつての貿易は、海外から原料を輸入し、製品として加工して輸出する、“産業間貿易”であった。近隣諸国の経済成長によって、“産業間貿易”が利潤を生み出さなくなってきた現在の日本が選択すべきは、アジアという地域経済圏の中で、“産業内貿易”、“企業内貿易”、“工程間分業”といった貿易であり、取引きされるべきものは最終製品だけでなく、部品であり、資本であり、人であり、情報である。具体的にはこれまでのフルセット生産ではなく、キーデバイスで強い競争力を維持するよう、人的資本のシフトが必要である。

そして、国内工場の縮小によってうみだされてしまった労働力は、日本国内市場で、日本人でしかできないような医療、余暇、福祉、研究開発などの第三次産業にシフトしていく必要があると述べている。

ハーシュマンの「声と退出」理論による経済や社会を分析の紹介も興味をひいた。会社の食堂のサービスが悪いとき、組合を通してサービス改善を交渉するのは「声」である。一方、何もいわず外の安い食堂を選ぶには「退出」である。「退出」は市場原理の1つであると思う。2つの組み合わせが世の中を廻している。小売り業者が「お客様の声」を必死に求めているのは、「声」なき「退出」を恐れているからに他ならないと感じた。

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