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宮沢賢治のポストモダン農業論 哲学の東北

哲学の東北
哲学の東北
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中沢 新一
幻冬舎 (1998/08)
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    宮沢賢治のポストモダン農業論

雑誌への寄稿を集めた中沢氏の一冊である。本の主題はロシア風メルヘン作家と思われている宮沢賢治の「悪=修羅」の思想家として再評価が中心である。中沢氏は宮沢賢治の著作の中に、エロスの大地から人への恵みを与える見かえりのない贈与としての前衛的農業思想家である事を対談を通して見出す。

興味深い一章は知人に招かれて東北の農村を訪ねた時のエピソードである。何の準備もせずに、訪れた公民館に顔をだすとおばあちゃんたちが中沢氏の本をまわし読みしており、"ポストモダンと現代農業"という難しい講演の題目まで掲げられている。そこで中沢氏が即興で語りあげたエッセイは構造転換期の農業の未来の可能性を見事なアドリブにまとめている。

中沢氏の父(歴史家の故網野善彦氏の義兄弟)は宮沢賢治らの影響をうけ都会でエンジニアをやめ田舎で農業の営みを始める。かつて父は中沢氏に農業をはじめた理由を語った事があるという。それは都市の労働と異なり、人が自然に働きかけ、自然はそれに答えて豊かな実りをもたらすという別の価値をもっていたからだった。ところが市場化の影響で農業も売れる商品を作る都市労働と化してしまい理想を実現できなくなったと語ったと言う。
追い詰められた農業の状況からは農本主義なども生まれたが、農本主義は反近代を主張しながらも、発想の「きまじめな」モダン思想ゆえに、展開していく事は難かったと論じる。

「東北」はアバンギャルドな辺境の代名詞として語られている。ポストモダン思想の農業での実践にはまだ課題がたくさんあることは認識するが、芸術のロシアアバンギャルド性を感じさせ、ヒントに満ちた魅惑的な考察である。真理は辺境に宿る。

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