« 藤巻 健史 タイヤキのしっぽはマーケットにくれてやる | Main | 7つの習慣 最優先事項 »

近代日本外交思想史入門

近代日本外交思想史入門―原典で学ぶ17の思想
関 静雄
ミネルヴァ書房 (1999/05)
売り上げランキング: 409,242
通常2~3日以内に発送
おすすめ度の平均: 4
4 現代に通じるこの国の行方のヒントを歴史に学ぶ

現代のこの国の経済の行方のヒントを近代外交史に学ぶ


ユニークな切り口で日本の近代外交史を紹介した良書である。

外交の実務に関わった官僚、政治家の著作と生涯が列伝形式でわかりやすく紹介され、彼らの思想・理念が点と点を結ぶようにして日本の近代外交の変遷が浮かびあがってくる。

久米邦武「米欧回覧実記
陸奥宗光「蹇蹇録
山県有朋「山県有朋意見書」
林董「後は昔の記」
内村鑑三「世界の平和は如何にして来る」
朝河貫一「日本の禍機」
宮崎滔天「三十三年の夢
原敬「原敬日記
幣原喜重郎「外交五十年」
石橋湛山「小日本主義
井上準之助「井上準之助論業」
石原莞爾「世界最終戦論」
水野広徳「興亡の此一戦」
近衛文麿「清談録」
宇垣一成「宇垣一成日記」

紹介されている外交家が一貫した近代外交の思想を抱いているわけではなく、西欧同化主義からアジア統一による列強への対抗主義派、和平派、小国主義とさまざまである。専門書であるが、内容も一般読者が理解できる平易な文章で大変参考になった。

印象深い人物はまず孫文の革命を無私の精神で援助した宮崎滔天。辛亥革命の陰の立役者の活躍ぶりに、多いに感銘を受けた。

アジアの統一、満州国設立の思想的背景を作り、大東亜東亜戦争で世界平和は成就されると、宗教がかった理論を唱えた軍人の石原莞爾。

 宰相を努めた石橋湛山は、近代日本の外交の中で大きな潮流を作ることはできなかったが、覇権主義に対して小日本主義を唱えた。石橋氏は名のみ知っているだけで、その思想を本書で初めて知った。原敬の日記は後世に読まれるように書かれた重要な文献で、彼の暗殺が日本の軍国化の歯止めを打ち破った感を持った。

現代の経済に視点を移動した時に、彼ら外交家と同じく、中国が戦争ならぬ、経済戦争の舞台として再浮上している。中国の経済成長とともに日本の経済はどうあるべきか、考える上で、近代史の中の外交思想と実践は多いに参考になる。小国主義とスモールガバーメントを選ぶか、大東亜(環太平洋)経済圏を協力して形成していくか、ヒント集としても有益な一冊である。

投稿

PS.冒頭の「米欧回覧実記」の岩倉使節団の全権大使(歴史の教科書に写真掲載)の一人のご子孫に米国でお世話になった。何故わかったかというと、お宅にあの有名な写真がかざってあったからである。その方はオーストラリア人と結婚し、世界を一年間も新婚旅行したと話された。本書評とは全く関係ないが、スケールの違いに仰天だった。

皆さんのクリックが励みです→人気本・読書blogランキング ありがとうございました。


|

« 藤巻 健史 タイヤキのしっぽはマーケットにくれてやる | Main | 7つの習慣 最優先事項 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/61482/3371600

Listed below are links to weblogs that reference 近代日本外交思想史入門:

« 藤巻 健史 タイヤキのしっぽはマーケットにくれてやる | Main | 7つの習慣 最優先事項 »