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不確実性の時代

不確実性の時代 (上)
不確実性の時代 (上)
posted with amazlet at 05.02.19
ジョン・K・ガルブレイス 斎藤 精一郎
講談社 (1983/01)
在庫切れ
おすすめ度の平均: 4
4 有用かつ面白い
4 ガルブレイスの名著作

経済学重鎮の見た200年の経済学と歴史

近代経済学の重鎮ガルブレイス氏によるベストセラー。出版以来「不確実性」という言葉だけは、社会的に認知され、その後20年近い年月を経て、内容は神話化され、政治家や会社社長の「景気の先行き不透明」の代名詞と化してしまった。

本書はBBCのテレビ番組の企画がベースとなっており、18世紀の経済学の開祖のアダムスミスから200年におよぶ経済学の変遷が、200年の歴史との関わりとして語られている。その点、本としての明確な主張はなく、一般読者向けの啓蒙書となっており、どちらかといえば、テレビのドキュメントプログラムの方が楽しめそうだ。

200年の歴史を経済学者たちとの関わりあいの視点で見ると、個々の時代ごとに経済学が政策や歴史に与えた影響はよくも悪くも大きい事を改めて認識させられた。例えば、近年、日本でも経済学者や民間エコノミストの内閣への当用が目立って見えるが、これは現代に限った事ではない。

本書は冷戦が終結する前の時期のため「核の脅威」を最大の懸念事項として結んでいるのが、著作の時代性を感じさせる。

興味深かったのは法人が巨大化・多国籍化してきた様相の記述した章でノーベル経済学賞受賞のサミュエルソンの言動。

教科書では

”消費者はいわば王様である。...その一人一人が自分の望むとおりに事が運ぶよう、自分のお金を投票札として使う投票者なのだ”

と記述しながら、教室を離れると現実家として、ニューズウィークでは法人企業の持つ権力・影響力を持つことを熟知して、彼らの事を”価格管理を行う寡占者”と認識していると、その二枚舌ぶりを暴露している。これは特に著者によるサミュエルソン批判とは感じない。経済という生き物の掴みどころのなさを間接的に告白しているのだろうか。

さて、タイトルの「不確実性の時代」は現代の著作でも通用するものであるが、ガルブレイスは特に21世紀の予言をした訳ではない。各時代がそれぞれ不確実性をもっており、その1つが1914年の大戦であった事も記している。
経済学泰斗のみた19,20世紀の歴史といったところが内容により近いだろう。

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Comments

トラックバックありがとうございます。ガルブレイスは民主党のブレーンとしてケネディの政策に関わったのだと思いますが、それ以後、確かにメインストリームを歩いてきた人ではないようです。彼の不確実性の時代という言葉は一人歩きしましたが、彼がいいたいのは、公共政策や福祉政策はきちっと政府がやるべきということで、レーガノミックスの小さな政府などには強烈な反対論者でしょう。違うかな?

Posted by: blc | February 12, 2005 at 08:51 PM

コメントありがとうございます!! 純粋な経済学は全くの素人で勉強しながら、ブログ書いているような次第です。検索をかけても「不確実性の時代」が何を主張していたか、一般に紹介しているサイトもなかった事もある種の驚きでした。佐和先生の「現代経済学の名著」を片手に勉強してみます。

Posted by: 管理人 | February 12, 2005 at 10:52 PM

書き忘れました。主旨と外れますが、モダンジャズ。私もビリーホリディーの大ファンです。エラもダイナも好きですが。一般認識はクライですが、私には特にVerve時代の録音に哀しみと華やぎを感じます。晩年に油井正一先生とお話をする機会がありまして、知識のギャップに冷や汗ながら、その旨を話しましたら、自分も最初はわからなかったよと答えてくださいました。

Posted by: 管理人 | February 12, 2005 at 10:57 PM

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