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市場の法則

市場の法則
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伊藤 元重
講談社 (1998/09)
売り上げランキング: 223,265
在庫切れ
おすすめ度の平均: 5
5 経済学的な物の見方を養うための現代的好著!
市場原理を平易に説明した良書

サイトで取り上げているビジネス・経済書の基底を流れている確固たる法則がある。それは市場原理である。レーガン、サッチャー後の経済政策の潮流はケインズ派の政府介入型から、市場原理にゆだねる自由化が加速され、米国経済は経済不況から脱却し、アジアの新興工業国の発展が進んだ。これはアメリカ発の“市場原理”が世界経済に浸透していった証である。
 国内に目を転じても、構造改革、民営化、経済活動政治、働き方の選択、生命保険選びまで、本サイトで紹介している事すべてが、市場原理と言うキーワードで動いているのである。(正確には市場原理の導入と既存のしくみが軋轢を起こしているというのが実態だろう)

 さて、本書は東大の伊藤先生が日常生活の中の出来事を題材に、市場原理を極めて平易に説いている良書である。極論やけれんみのない真摯な記述は読んでいても気持ちがよい。

 内容は法則と称して28章にそれぞれ、原理を述べている。全ての章についてはふれないが印象に残ったものをあげる。1つ目には市場原理では計画的な経営は成り立ちがたく、アメーバ型の試行錯誤経営が有効だと述べている。日本の企業ではまだ、この切り替えができていないと感じる。2つ目には市場がグローバル化すると大資本が有利で、例えばスーパーなど、郊外大型店が増えると、個人経営のお店は立ち行かなくなるという危惧を多くの方がもたれていると思うが、より大きくなった市場で0.1%の顧客をターゲットに差別化を図る事で、個人経営の事業も市場原理では活躍の機会があり、逆に大型店は店舗開設の投資が大きいだけに、デメリットもある事をあげている。地道な店舗で確実な収益を計上し続けているしまむらの社長との対談も引用し、小商業圏で、ブランドでもディスカウントでもなく、消費者の必需品を幅広く手堅く提供しているのも差別化であると説明している。

3つ目は良い投機は相場市場を安定させるという理論は、意外であり、参考になった。伊藤先生によれば悪い投機が市場を混乱させるのだという。4つ目は先進工業諸国の通貨も投機ファンドが悪者とされているが、これらの国の旧態依然の既得権支配層による経済体制に問題もあり、ファンドがキャッシュを引き上げたためという説明には納得するものがあった。日本で市場原理が神のみえざる手の如く、潤滑するには、日本固有の障壁もあり、ソフトランディングしていく必要を感じた。

 あらためて読書の快楽と学びの充実感を感じさせる良書であった事を記して結びとしたい。 

PS.伊藤先生の皮肉を込めた市場原理の一例をもう1つあげておこう。伊藤先生は経済、金融商品の予測はできない事を理論的に説明している。その上で危機をあおる著作を連発する経済評論家にはインチキな人も多い事をあげている。100の予測をして、たまたま、1つ当たれば、残りの99のはずれは皆忘れ、あの評論家の言うとおりになったと盲信してしまう。これもそれぞれの日々の糧を得る経済活動であり、これも0,1%の顧客を確保する商法であると
述べていた。まっとうな経済の本の著者の代弁として付け加えておこう。


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Tracked on February 23, 2005 at 05:43 PM

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