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ブヴァールとペキュシェ

ブヴァールとペキュシェ (上)
フロベール 鈴木 健郎
岩波書店 (1954/10)
在庫切れ
おすすめ度の平均: 4
4 現代生活の鏡としての19世紀フランス市民社会


現代生活の鏡としての19世紀フランス市民社会

19世紀のフランスの作家フロベールの作品である。岩波の古典文学に尻ごみしないで、読まれる事をお奨めする。当時の固有名詞はわからないものが多いが、文章は平易でバタバタ劇調である。そして21世紀の鏡かと思われるような成熟した市民社会が描かれていて、我々の暮らしが予言されていたような驚きを感じる。

ブヴァールとペキュシェは主人公の2人の名前である。日々の糧には困らなくなった上級市民は生きがいという、かけがえのない自分探しを行う。要は余暇の時間が生まれた故の業である。そして文学、芸術、園芸と、各章毎に、2人がそのジャンルを極めようと奮闘し、失敗するドタバタ劇となっていて、1つのジャンルに挫折すると、次のジャンルに自分探しと真理を求めて、性懲りもなく渡りあるいていくさまを著者は淡々と風刺をこめて、描いている。現代でいえばお稽古と生涯学習ブームといえるだろう。フランス古典のマイナーな作品にもかかわらず、楽しく読めたのはフロベールの力量である。

20世紀末にニューアカディミズムの風刺で筒井康隆氏が、風刺する現代思想の本よりも内容のレベルの高い小説を描いたが、それに似た印象も残った。 (本書の入手は困難かもしれません。)

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Comments

こんばんわ。
コメント&トラバありがとうございます。
(何度か書いて失敗してるので、重複してたらごめんなさい)

<ブヴァールとペキュシェ>は間違いなく
僕の一番好きな小説ですが、読んだことはありません。
なかなかアクセスできなくて。

でも、こちらのブログのリンク先の「楽天フリマ 古本屋街」から
落とすことができました。
ほんとありがとうございました。

Posted by: master-panda | February 14, 2005 at 11:40 PM

master-pandaさん:コメント、トラバ、ありがとうございます。首尾良く入手できたとの事、何よりです。岩波文庫の古典なので、とっつきにくさはありますが、内容は現代の作品かと思うような風刺で、私もあっという間に読めました。私が読むきっかけは文学・文化研究者の高山宏先生の著作での紹介でした。こちらも一般読者向けですが、入手は難しいかもしれません。19世紀の近代市民の文化を知るには大推薦です。(本サイトのテーマからはずれるので紹介しておりませんが)

Posted by: 管理人 | February 15, 2005 at 08:05 AM

僕は美学論文とかでよく聞く話だったんで知ってました。
ずっと欲しかった本だったんです。
<kaz0775>さんがコメントしてくれたおかげで
アクセスできたんで、ほんと感謝してます。

またちょくちょくお邪魔します。

Posted by: master-panda | February 16, 2005 at 09:48 AM

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