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国家民営化論―「完全自由社会」をめざすアナルコ・キャピタリズム


閉塞状況をどう脱却すべきか、いっそ国家を民営化

故土光敏夫氏が昭和56年に行政改革調査会長に就任し、行政改革という考えが世の中に浸透してから、なんと、もう30年も経過した事を思い出してほしい。近年、小泉内閣のデビューの構造改革も遅々として進まない。郵政事業の民営化だけでも既得権をめぐって議論だけに議員と官僚の生産活動=労働対価の給与が税金からまかなわれている感をぬぐえない。

民営化各論の精緻化と例外救済措置の複雑な立法のプロセスをすっきり決着させるにはどうしたらよいか、国家を民営化してしまえばよいのである。それが小説家・思想家の笠井氏の本書の基本骨子である。

ホッブスの”万人の万人に対する戦い”を回避して自由競争の市場に行政をも投入するにはどうしたらよいか、その考察が本書では過激かつ根源的に語られている。真の自由競争を実現するにはスタートラインの公平性がなくしては、成り立たない。そこで著者が提唱するのが、遺産相続の停止。企業法人の寿命制。復讐を認める事など、いずれも過激な主張であるが、政府がこれからの未来の税制負担や年金削減と比べた時、どちらがまともかという気にもなってくる。

笠井氏の論考の背景にはアナルコ・キャピタリズム(無政府資本主義)という冷戦後のアメリカの思想がある。
レビュアーの視点としては、司法や福祉など民間のお金次第にはみだねられない公的機関は必要であり、その意において、無政府ではなくスモールガバーメントが現実的と考える。”リバタニアリズム”レベルの自由主義に賛同するところである。ただ笠井氏の視点の読んだ別の感想としては、政府でも民間会社でもいかなる組織も、年数とともに
組織の目的のための手段として、組織が存在するのではなく、組織が存続する事が目的という、目的と手段の逆転が発生してしまう事も感じた。

本書は光文社の一般読者向けの新書であるが、内容は思想書のため、やや難しい記述となっている。

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