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「会計戦略」の発想法

「会計戦略」の発想法
木村 剛
日本実業出版社 (2003/07/02)
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おすすめ度の平均: 4.33
5 目指す「日本資本主義」への大きな第一歩
4 「資本主義」→「株式会社」→「会計」!?
5 「会計戦略の発想法」を読んで


会計とは説明責任であり、良書であるが

従来の日本の会社の一般認識としては、経理部門は総務、人事、法務などのスタッフ部門と同じように会社の経営をサポートするルーチンワークを行う業務であって、利益を生みだす役割ではなかった。本書では木村氏は会計がどれほど経営に貢献する重要な役割を担うものであるかを説いている。

英語の語源に基づくと会計とはアカウンティングであり、比較的最近に外来語として認知された説明責任がアカウンタビリティである。つまりこの2つは株主重視の株式会社では資本を投資する株主に対して、その運用結果を記録していく事が会計であり、それを報告する義務がアカウンタビリティとなる。


会計戦略というほど会計が注目される背景には、木村氏一人の業績があるわけではなく、取得原価ベースを採用してきた日本だけが反対して時価ベースの国際会計基準が制定された事や日本だけでなく企業による不祥事が多発した事があげられる。特に不良債権問題は日本の取得原価ベースによる決算書が隠微したクリエイティブアカウンティングである事からも、会計が日本経済のキャスティングボートを握っている事は確かだ。

本書では株式会社/資本主義の成り立ちを会計の観点から総括し、またケーススタディとしていくつかの会社の例を紹介している。一例としては日産のゴーン氏が社長着任時に自分の改革の成果を明確化するためにリバイバルプラン実行の前年度に各種引きあて金で特別損失相当分を計上するという会計戦略で改革プランを成功させた。

木村氏の主張は会社のCSR(社会的責任)によって信用を回復する事が会計戦略のファ-ストステップとして、内部監査の体制強化を提言している。この監査のコンサルティングがまさに木村氏の会社の事業となるポジショントークなのではあるが...

レビュアーとしては会計の理解には大変参考になったが、一方サラリーマンの立場としては、日本の会社の査定好き(ISO、QA,経営品質、各種グローバルスタンダードな基準の取得、情報セキュリティ)に加えて監査の強化という事が、社員の多忙な日常業務に一層の負荷をかけ生産性を低下。ジョージ・オーウェルの予言した”Big Brother is always Watching You”なる管理化社会が21世紀の資本主義なのかという素朴な違和感ももった。

また時価会計制については、宮澤元首相と小林陽太郎氏の発言にも言及しているが、レビュアーの見解として時価会計が会社の経営状況をより正確に測る事ができる一方、約款としての会社の事業の実態とは乖離したものになると感じた。(業績が悪くても金融資産の時価があがれば経営状態はよいのだから)

もっとも為替の変動も日本の輸出産業を中心として、会社の経営努力を良くも悪くもするのだから、経営状態を数値化するのは簡単な事ではないですねぇ。

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