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ぺてん師列伝―あるいは制服の研究

ぺてん師列伝―あるいは制服の研究
種村 季弘
岩波書店 (2003/04)
売り上げランキング: 270,081
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現代の不況と詐欺を300年前の欧州にみる

昨年、物故された種村さんは博覧強記、軽妙・洒脱な文筆家、ドイツ文学者であったが、著作の数々に脈絡として流れている視点の1つには、世の中というものが、日々、常識と思われている価値観が一夜にして、表と裏がひっくりかえる、薄氷のような危うい虚構の上に成り立っているという思想を感じる。思想確立の原体験には戦中、戦後の闇市や東大独文卒業後の不遇な日々もあると思う。

本書はヨーロッパの歴史の中で痛快とも言えるペテン師の面々を軽妙、痛快に紹介していて、読者はペテン師たちにシンパシーさえ感じてしまう。貧しい靴職人が古着屋で手にいれた軍服を着て、軍隊を指揮し、ケペニック市長を逮捕、金庫の金を堂々と持ち運んで行方をくらます。またある若者はプロセインの偽王子になりすまし、豪遊。そして、経済史の中でも有名なバブル経済となったジョン・ロー事件。財政の逼迫したフランスにイギリスから山師ジョン・ローがやってきてオルレアン公にとりいって、新大陸ルイジアナの金鉱を掘る「ミシシッピ―会社」の株を発行し、国民に虚構の夢を語る。国民はこの実態のない会社の株券を購入し、株価が高騰したところで、バブルがはじける。まさに21世紀の日本と同じ事が300年前の欧州でおきていたのである。

制服とは国家体制の象徴である。ペテン師が跋扈する社会には、経済不安をかかえると、国民が、信用に疑念を持ちながらも旧態の国家体制にしがみつく保守の習性が浮上する。本書は現代経済のジャンルではないが、結果として、現代の風刺になっている。

人は経験からしか学べないのだが、歴史からは学べず、愚かな醜態を繰り返すのだろう。

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