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会社はこれからどうなるのか

会社はこれからどうなるのか
岩井 克人
平凡社 (2003/02)
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ポスト産業資本主義時代の会社のありかたを平易に説く

著者は東大経済学部長の経済学の泰斗。ポストモダン思想が一世風靡した1980年代前半にポストモダンの経済論の気鋭の論客として登場したが、その後、著作活動からは離れて、学会で活躍されていたようだ。その沈黙を破って、日本の経済を憂いとこれからの会社のあり方を、持論に基づき、極めて平易に説いている。前著作群で記していた事だが、著者は資本主義の変遷を3つに分類していて、それぞれの時代における”差異”が利潤として経済の源泉になったと説明している。

1つ目が商業資本主義、これは古代からの貿易をさすもので、異国間の交流、単純に言えば地理的距離の差異が利益を産みだした。2つ目が産業資本主義でこれは産業革命のように大量の農村労働者群の賃金と、労働者を工場で効率的生産システムに投入して得られたもうけとの差異が利益をもたらした。この産業資本主義はその国が豊かになるにつれて、労働者の賃金と会社のもうけの差異がだんだん減っていき、先進国ではそのスキーム維持が容易でなくなる。3つ目がポスト産業資本主義でここでは情報の差異が利益を産みだす。ここまでは著者の基本的な理論である。

本理論から十数年経過して、新たな社会現象として現れたのがIT革命と直接金融(ビッグバン)とグローバル化である。著者はこれらの社会状況はまさにポスト産業資本主義の具体的な現れとしている。更に本書では会社とは何か、法人と人の違いから平易に説明し、法人は株主のもの(という米国流グローバルスタンダードの考え)に異議をとなえ日本独自の資本主義の意義を模索している。

エコノミストや経営者のような断定的結論はひかえているが、このポスト産業資本主義の中で会社の組織はどうあるべきか、起業について、NPO、シリコンバレー的スタイルの是非等、サラリーマンにいくつかのヒントを示唆し本書を結んでいる。語り下ろしの本の多い昨今、著者は語り下ろしの草稿を2年かけて、ご自分で書きなおしている労作であることも付け加えておく。

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